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札幌地方裁判所 昭和33年(行モ)3号 決定 1958年5月29日

申立人 北海道地方労働委員会

被申立人 北海小型タクシー株式会社

主文

被申立人は、前記訴(注、昭和三三年(行)第六号、同第七号不当労働行為救済命令取消事件併合審理)の判決確定にいたるまで函館市亀田町二一七番地、遠山武夫および秋田市下浜長浜九八番地、原田義二を原職に復帰させ、それぞれ右両名が受けるべき給与相当額を支払わなければならない。

(裁判官 田中良二 田口邦雄 岡本健)

【参考資料一】

緊急命令申立書

申立の趣旨

右当事者間の御庁昭和三十三年(行)第六号および第七号不当労働行為救済命令取消請求事件の判決が確定するまで、被申立人は、原田義二および遠山武夫を原職に復帰せしめよ

との決定を求める。

申立の理由

一、原田義二および遠山武夫は、いずれももと被申立人に雇用される従業員であつたところ、原田は昭和三十二年十一月九日退職願を提出し、遠山は昭和三十三年二月一日付をもつて解雇された。

二、原田は右退職を被申立人の強要によるものであつて、その他の事実とあわせ、労組法第七条第一号および第三号の不当労働行為として、遠山は右解雇を労組法第七条第一号の不当労働行為として、それぞれ申立人委員会に救済申立を行い、右申立はそれぞれ昭和三十二年道委不第二十五号事件および昭和三十三年道委不第三号事件として、申立人委員会に係属した。申立人委員会は昭和三十三年四月四日、原田の申立につき、「(一)同人を昭和三十二年十一月九日当時の原職に復帰させ、同日以降復職の日まで同人の受けるべき給与相当額を支払わなければならない、(二)その余の申立は棄却する。」

遠山の申立につき「(一)別紙第二記載の陳謝文を、本命令交付の日から三日以内に交付しなければならない、(二)同人に対する昭和三十三年二月一日付解雇を取消し、同日以前の原職に復帰せしめ、同日から復職の日まで受くべかりし給与相当額を支払わなければならならい、(三)その余の申立は棄却する。」旨の命令を決定し、被申立人に対し、それぞれ昭和三十三年四月九日交付した。

三、しかるに被申立人は右命令を不服として、昭和三十三年四月十九日付をもつて御庁に行政訴訟を提起し、それぞれ御庁昭和三十三年(行)第六号および第七号不当労働行為救済命令取消請求事件として併合審理中である。

四、申立人委員会の発した前記命令のうち、原田、遠山の原職復帰を命ずる部分が右の訴訟の解決するまで実現されないならば、両名およびその家族の生活は甚しく窮乏し、恢復すべからざる損害を披ることは明らかであり、ひいては労働組合法の立法精神は没却されるに至ることになるので、昭和三十三年五月九日の申立人委員会第二百六十三回公益委員会議において労働組合法第二十七条第七項の規定による命令の申立をなすことを決議した。よつて前記申立の趣旨の御決定を得たく、ここに本申立に及んだ次第である。

【参考資料二】

命令書(注、昭和三二年道委不第二三、二五号)

申立人 高橋一雄

同 原田義二

被申立人 北海小型タクシー株式会社

主文

一、被申立人は、申立人原田義二を昭和三十二年十一月九日当時の原職に復帰させ、同日以降復職の日まで同人の受けるべき給与相当額を支払わなければならない。

二、申立人等のその余の申立は棄却する。

理  由<省略>

昭和三十三年四月四日

北海道地方労働委員会会長 高倉新一郎

【参考資料三】

命令書(注、昭和三三年道委不第一、二、三号)

申立人 千場時彦

同 今泉武次

同 遠山武夫

被申立人 北海小型タクシー株式会社

主文

一、被申立人は、申立人今泉武次に対し、別紙第一記載の陳謝文を、本命令交付の日から三日以内に、交付しなければならない。

二、被申立人会社は、申立人遠山武夫に対し、別紙第二記載の陳謝文を、本命令交付の日から三日以内に、交付しなければならない。

三、被申立人会社は、申立人遠山武夫に対してなした昭和三十三年二月一日付解雇を取消し、同日以前の原職に復帰せしめ、同日から復職の日まで受くべかりし給与相当額を支払わなければならない。

四、申立人等のその余の申立を棄却する。

理  由<省略>

昭和三十三年四月四日

北海道地方労働委員会会長 高倉新一郎

別紙第一

陳謝文

貴下が北海道地方委員会の審問に出席し、証人として述べた証言が当会社に不利なものであつたとの意味をもつて業務上不利益となる差別待遇をしたことは、誠に遺憾とする次第であります。

右の行為は労働組合法第七条に該当する不当労働行為でありますので、北海道地方労働委員会の命令により、深く陳謝の意を表するとともに、今後こうした行為を絶対に繰返さないことを誓約いたします。

昭和 年 月 日

北海小型タクシー株式会社代表取締役 鍵谷達夫

今泉武次殿

別紙第二

陳謝文

貴下が北海小型タクシー労働組合員であつた故を以つて、差別的取扱をなしたことは、誠に遺憾とする次第であります。

右の行為は労働組合法第七条に該当する不当労働行為でありますので、北海道地方労働委員会の命令により、深く陳謝の意を表するとともに、今後こうした行為を絶対に繰返さないことを誓約いたします。

昭和 年 月 日

北海小型タクシー株式会社代表取締役 鍵谷達夫

遠山武夫殿

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